ピラティスと身体のこと

人生が変わるボディワーク|ピラティスの魅力とは

最近、「ピラティスがいいらしい」「体幹に効く」「姿勢が良くなる」と耳にすることが増えていませんか。

芸能人やモデルが取り入れているというイメージもあり、
「なんとなく美容や健康に良さそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。

でも実際にピラティスとは何か、なぜここまで支持されているのかは、
まだ広く知られていないようにも感じます。

そこで今回は、
ピラティスとはいったいどんなものなのか。
なぜ、注目されているのか。
そして、体や心にはどんな変化が起きるのか。

そんな素朴な疑問にお答えしながら、
ピラティスというボディワークの本質と、その奥深い魅力をお伝えしていきます。

ヨガとピラティスの違い

ヨガもピラティスも「呼吸と意識を大切にする」点は共通していますが、その目的やアプローチには違いがあります。

ヨガが“内面とのつながり”を重視するのに対し、
ピラティスは身体の構造と動きを正しく整えることに重点を置いています。

特に現代ピラティスでは、解剖学や運動学に基づいたロジカルなアプローチが進化しており、“なんとなくの感覚“だけではなく、根拠のある動きで変化を引き出せる点が特徴です。

もちろん、どちらが優れているというわけではなく、ご自身の心身の状態や目的に合わせて選ぶことが大切です。

姿勢にアプローチする、ということ

ピラティスの大きな特徴のひとつが、姿勢改善に特化している点です。

私たちは日常生活の中で、無意識のうちに「癖のある姿勢」や「偏った使い方」を続けています。
それがやがて、肩こりや腰痛、呼吸の浅さ、疲れやすさへとつながります。

ピラティスではまず、

  • 自分の姿勢の傾向に気づく
  • どこに過剰な緊張やアンバランスがあるかを知る
  • それを整えるために適切な筋肉を目覚めさせ、アプローチしていく

という流れで、姿勢の再教育を行います。

結果として、見た目の美しさだけでなく、
呼吸が深くなり、動作がスムーズになり、日常がグッと楽になる。
それが、ピラティスの真価なのです。

筋トレ経験者にも響くピラティス

筋トレが「筋力の強化」にフォーカスしているのに対し、 ピラティスは「身体機能の向上」を目的としています。

具体的には、

  • 深層の筋肉を目覚めさせる
  • 最小限の力で最大限の効率を引き出す
  • 正しい姿勢や動作を維持できるようにする

このように、見た目の筋肉を大きくするよりも、
“どう動くか”“どう支えるか”を重視しているのがピラティスの特徴ですが、筋トレを否定しているわけではありません。
筋トレにもさまざまなアプローチがあり、近年では解剖学や機能に基づいたトレーニングも多く取り入れられています。

ピラティスで「動きの土台」を整え、筋トレで「パワーと強度」を高める。
このように、両者を組み合わせることで、より効率的でケガの少ない身体づくりが可能になります。

スポーツ選手のパフォーマンス向上や、 加齢による体の変化への対応にも効果的だとされ、 幅広い年齢におすすめできるエクササイズでもあります。

内側に“空間”をつくる動き──痛みと不調の根本改善へ

ピラティスを実践するうえで、特に注目されているキーワードがあります。
それが「エロンゲーション」──内側に空間をつくるように動くこと、です。

この「エロンゲーション」という概念は、整形外科医であり、運動器リハビリテーションの専門医としても活躍されている西良浩一先生も、ピラティスを通じて身体機能の改善を指導する中で強調されています。

例えば、腰痛がなかなか治らない、姿勢が崩れてきた、関節が詰まったように感じる…。
そんなとき、私たちはつい「伸ばす」「鍛える」といった外側へのアプローチに意識を向けがちです。
でも本当に必要なのは、身体の内部に余白を生み出すこと。関節や筋肉のあいだに空間を作るような意識で動くことで、初めて本来の機能が蘇り、痛みや不調が改善されていくのです。

このような考え方は、ピラティスの原点ともいえる「コントロロジー(自分自身をコントロールする運動理論)」にもつながっています。
力づくで動かすのではなく、身体の内側から整えていくことで、年齢や体力に関係なく、本質的な力が引き出されていきます。

信頼できるフレームワーク、PHIピラティス

ピラティスには、いくつかの流派やメソッドが存在しています。
どれもピラティスの考え方をベースにしていますが、エクササイズ要素の強いもの、アスリート向けのもの、医療寄りのものなど、それぞれに特徴があります。

その中で、私が学んでいるのが「PHIピラティス」です。
PHIピラティスは、ケガの予防・姿勢や機能改善・パフォーマンスの向上を目的とした、医療と運動の視点が融合したピラティスメソッドです。

創設者は、アメリカの理学療法士であるクリスティン・ロマニ・ルビィ氏。
医療現場での知見と最新の運動科学をもとに、一人ひとりの身体の機能を最大限に引き出すことを目的として体系化されました。

ピラティスを通じて身体が本来持つ力を引き出していくこのアプローチは、「内側に空間をつくる」──エロンゲーションの考え方とも深くつながっています。

PHIピラティスについては、今後さらに詳しくご紹介する記事を予定していますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

自分の体を知ることが、自分を大切にすることにつながる

ピラティスは、身体を通じて自分を知ることができる、奥深いボディワークでもあります。

「自分の体がどうなっているのか」
「どんな風に動かすと心地いいのか」
「何が過剰で、何が不足しているのか」

そういった“気づき”の積み重ねが、
心と体のつながりを育み、
やがては「自分を大切にする」ことにつながっていきます。

見た目を整えるのではなく、感覚が整うことで、
自然と姿勢が変わり、呼吸が変わり、心まで変わっていく。

それが、ピラティスの魅力です。

ピラティスがもたらす、日常の変化

個人差はありますが、ピラティスを継続することで、こんな変化が起こります。

  • 姿勢が良くなる
  • 肩こり・腰痛が起きにくくなる
  • 呼吸が深くなることで、代謝や睡眠の質が上がる
  • 疲れにくくなり、活動量が増える
  • 体のラインが引き締まる
  • 更年期や加齢に伴う不調への対処力が高まる
  • 自分の体が好きになる

これらは一例でしかなく、他にも様々な付加価値があります。

これらの変化が起きるのは、単なる筋トレやストレッチとは異なる、“全身の骨格を整える”という視点があるからこそ。

※効果の感じ方には個人差があり、すべての方に同じ変化が現れるわけではありません。また、既往歴や持病がある場合は、医師に相談の上、無理のない範囲で行うことが大切です。

おわりに|なぜ、いまピラティスなのか?

ピラティスは誰にでも開かれた素晴らしいメソッドですが、すべての人にとっての“正解”ではありません。
お好みや目的、身体の状態によっては、ヨガやウォーキングなど、他のアプローチの方が合っている場合もあります。
大切なのは、あなた自身が心地よく続けられる方法を選ぶこと。
その選択肢としてピラティスがあり、
「なんとなく不調がある」
「体が硬い」
「疲れやすくなった」
「運動が苦手」
そんな方にこそ、ピラティスを選んでもらえたらと思います。

ピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティス氏の言葉で、ピラティスは、「10回で違いを感じ、20回で見た目が変わり、30回で体のすべてが変わる」というものがあります。

ただ体を動かすのではなく、自分を知り、整えていくボディワーク。

ピラティスは、体のためのエクササイズであると同時に、
“人生の質”そのものを高めてくれるものでもあるのです。

ぜひ一度、その変化を体験してみてください。